2019年ノーベル化学賞を予想!~カーボンナノチューブの発見~

化学
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はじめに

今年もこの季節がやって参りました!

ノーベル賞の発表です。

最近では毎年のように日本人がノーベル賞を受賞していますね。

中でも、2012年の山中伸弥氏(iPS細胞)や2014年の中村修二氏(青色LED)はインパクトが強かったように思います。

2016年の大隅良典氏(オートファジー)、2018年の本庶佑氏(がん治療薬)も当時話題に上がりましたね。

私は職業柄、ノーベル化学賞に関心があるのですが、日本人は最近受賞から遠ざかっているので、今年こそは受賞して欲しいところです。

この記事では、ノーベル化学賞を受賞する可能性のある日本人をピックアップして、その研究内容を解説したいと思います。

これまでの受賞者と研究のおさらい

まずは、過去の受賞者を振り返ってみたいと思います。

2014年・・・ 超高解像度蛍光顕微鏡の開発 (分析化学) 受賞者:エリック・べツィグ他

2015年・・・ DNA修復の仕組みの研究 (生化学) 受賞者:トマス・リンダール他

2016年・・・ 分子マシンの設計と合成 (有機化学) 受賞者:
ジャン=ピエール・ソヴァージュ他

2017年・・・ 溶液中で生体分子を高分解能構造測定するためのクライオ電子顕微鏡の開発 (分析化学) 受賞者: ジャック・ドゥボシェ 他

2018年・・・酵素の指向性進化法の開発&ペプチドおよび抗体のファージディスプレイ法の開発(生化学) 受賞者: フランシス・アーノルド

過去5年間を振り返ると、受賞分野が分析化学→生化学→有機化学というように順番になっています。

このことから、ノーベル化学賞はバランスよく受賞分野を振っていると考えられます。

ということは、2019年は有機化学からの受賞可能性があることが期待できます。

ちなみに、日本人の受賞は2010年に受賞した鈴木章氏(有機合成)まで遡るので、もうそろそろ日本人が受賞して欲しいですね。

日本人候補者のピックアップ

それでは、ノーベル化学賞の受賞可能性がある日本人をピックアップして、研究内容を解説したいと思います。

カーボンナノチューブの発見:飯島澄男氏

カーボンナノチューブは 軽量でありながら、強度は鋼の20倍、熱伝導性は銅の10倍、電気伝導性は銅の1000倍と、極めて優れた素材として注目を集めています。

その構造は下の図のようなイメージで、炭素原子同士が繋がって、チューブ状になっています。

カーボンナノチューブの構造 出典:
https://www.nedo.go.jp/hyoukabu/articles/201602cnt/page02.html

発見されたのは1991年なので、なんと私と同い年です!笑

発見から28年たった今、カーボンナノチューブは様々な分野での応用が進められていますが、実は偶然発見されたものです。

この偶然の発見というのはとても重要で、大きな研究成果に繋がることもしばしばあります。

有名なところでいうと、電子レンジやテフロン(フライパンなどをコーティングする材料)ですね。

発見の経緯

飯島氏はカーボンナノチューブを発見する前、同じく炭素でできたサッカーボール状の球を研究していたそうです。

その頃は大勢の研究者が炭素のサッカーボールを大量に合成することを目的に研究していましたが、飯島氏は目の付け所が違いました。

炭素のサッカーボールを顕微鏡で観察していた際に偶然写っていた針状の物質に着目し、それがカーボンナノチューブの発見に繋がったのです。

普通の人なら、目的と違うものができていたら、不要物として見過ごしてしまうでしょう。

しかし、飯島氏のように、未知のものに疑問を持ち、探求する精神がこのような発見には大事なのです。

さらに、カーボンナノチューブの発見には飯島氏の経験も重要な役割を果たしています。

飯島氏の博士論文は銀の針状結晶であり、その道の専門家であったことです。

単なる偶然ではなく、実力が伴ってこその発見なのです。

このように、偶然の発見を見出す力のことを「セレンディピティ」といいます。

我々も普段からあらゆることに疑問を持ち、アンテナを張っておくことが重要だと改めて感じます。

経緯の詳細については下記ページをご参照ください。

カーボンナノチューブの歴史
NECの飯島特別主席研究員(当時:主席研究員)が1991年に発見した“カーボンナノチューブについて発見から応用への歩みについてご紹介します。2005年には、JST、財団法人癌研究会癌研究所との共同研究により、バイオテクノロジー分野において、カーボンナノホーンの薬物搬送担体への応用の可能性を実証し、現在、独立行政法人産業...

カーボンナノチューブの応用

いくら優れた素材でも、それが安く大量生産できなければ身の回りに普及することはありません。

カーボンナノチューブは発見されてからなかなか量産まで進みませんでしたが、2016年にようやく世界初の工場ができました。

参考URL:https://www.nedo.go.jp/hyoukabu/articles/201602cnt/page03.html

応用できる分野は、その優れた電気伝導性により、多岐にわたります。

特にエレクトロニクス分野では、透明導電フィルムを使用したタッチパネルが製造されるなど、商業化まで進んでいます。

自動車分野での活躍も大いに期待できます。

電気自動車のリチウム電池に助電剤として添加することにより、寿命のアップに繋げることができます。

カーボンナノチューブ応用例 出典:名城ナノカーボン(株)
http://www.meijo-nano.com/index.php

さらに、カーボンナノチューブの需要は年々増加し、2023年には2017年の2倍の市場規模になる予測となっています。(2018矢野経済研究所調べ https://eetimes.jp/ee/articles/1902/12/news032.html)

カーボンナノチューブは次世代の製品を担う素材です。今後の動向が楽しみです。

まとめ

今回、ノーベル化学賞の候補として、飯島澄男氏が発見したカーボンナノチューブを紹介しました。

日本人がノーベル化学賞を受賞することになれば、もっと化学に興味をもつ人が増えると思います。

今年は日本人のノーベル化学賞受賞に期待です。

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